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by tanemaki_azumino

8月 30日 損失補償契約は無効とする判決

8月 30日 損失補償契約は無効とする判決

三郷ベジタブル関連住民訴訟の判決が下りました。

トマト栽培施設の使用料については、一審判決は覆りませんでしたが、
「損失補償契約は無効」だとして、「原告勝訴」といっていい判決が下りました。

安曇野市は上告するかもしれませんが、
高裁で「損失補償契約は無効」との判断が出たことの意義は非常に大きいものです。

また、この判決で安曇野菜園が経営がどうなるわけでもありませんが、
全国のズサンな三セク事業に大きな警鐘となることは間違いありません。

住民監査請求してから3年、今日の判決を手にすることができたのは、
多くの皆さんの支援があったからこそ。
これこそ住民・市民の勝利です。

法廷での様子など、詳しくは改めて報告したいと思いますが、
以下に時事通信社から配信された内容をお知らせします。
(明日の新聞各社の報道にもご注目ください)

◆損失補償契約は無効 =金融機関への支払い差し止め=
 ―三セクめぐり安曇野市に・東京高裁―

  (2010年8月30日 時事通信社配信)

 長野県安曇野市が出資する第三セクターに融資した金融機関との間で、市が損失を補償すると契約したのは違法だとして、市議が差し止めなどを求めた訴訟の判決が30日、東京高裁であった。加藤新太郎裁判長は「契約は財政援助制限法に違反しており無効だ」として、訴えを退けた一審長野地裁判決を変更し、補償の差し止めを命じた。

 財政援助制限法は財政安定のため、自治体が会社などの債務を肩代わりする「保証契約」を禁じているが、同法に基づいて出費を差し止める判決は異例。損失補償契約に頼って融資を受けてきた三セクや地方公社に影響を与えそうだ。

 判決によると、旧三郷村(現安曇野市)は2003年、約51%を出資して三セク「安曇野菜園」を設立。その後、同社が銀行などから受けた融資に関し、仮に金融機関側が損失を負った場合、約3億5000万円(注1)までの元本や利息を補償すると契約した。

 一連の契約について、加藤裁判長は「制限法が禁じた保証契約と同様の機能を果たす」と判断。「契約が無効ならば、金融機関側に不測の損害を被らせ、取引の安全を害する」という市側の反論は、「効力を認めれば規制の趣旨が失われる」と退けた。

 一方、「発生した損失を事後的に補償する契約など、制限法に反しないものもある」とし、補償契約すべてが違法とまでは言えないと指摘した。

 判決後、原告の小林純子市議は「市は赤字が続く安曇野菜園の整理を検討中だ。その前に補償差し止めが認められた意義は大きい」と語った。代理人の中島嘉尚弁護士は「安易な三セク経営に対する警鐘となる」と評価した。

《宮沢宗弘・安曇野市長の話》判決文を熟読し、弁護士とも相談しながら対応を決めたい。

◎損失補償契約
 損失補償契約 出資先の第三セクターなどが融資を受けやすくするため、自治体が金融機関に生じた損失を肩代わりする契約。総務省の2009年3月時点のまとめでは、全国に7535法人あった第三セクターのうち、少なくとも465法人で契約対象となった借り入れが残っており、その総額は1兆8306億円。特別法に基づいて設立された地方公社も合わせると、残高は2兆6477億円に上った。

(注1)損失補償契約をしている金融機関3社の契約書の金額を単純に合計すると約3億5000万円になりますが、安曇野市が設定した損失補償の限度額は2億5000万円となっています。現在の債務残高は約2億円。
by tanemaki_azumino | 2010-08-31 00:32 | 訴訟や裁判