いつも市民派ずっと無党派


by tanemaki_azumino

2月 22日 評価なき世界は腐敗と堕落に染まる

2月 22日 評価なき世界は腐敗と堕落に染まる

議員定数と報酬を削減することが「議会改革」だとカン違いしている議会が多すぎます。
安曇野市議会でも議会改革と称して議員定数の問題を検討していますが、
日々の議会のなかで「すぐに改善できること」に手を付けず、
延々と定数削減の議論をしています。
こんなことではかえって「議会改革」から遠ざかるような気がします。
残念ながら「議会改革」は「外圧」に頼るしかないのかもしれません。

週刊ダイヤモンドより
相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記 【第20回】2011年02月07日


「落第」判定もあり!相模原市の市民団体が始めた
     評価なき政治の世界を変える「議員通信簿」の衝撃
 

「定年退職するまで(神奈川県に住み東京で働く)“神奈川都民”でしたので、市政や市議会には疎かった。それでも議員はりっぱな人達なんだろうなと思っていました」

 こう語るのは、神奈川県相模原市の赤倉昭男さん。市議会の傍聴を続けている市民団体「相模原市議会をよくする会」の代表だ。議員一人ひとりの議会内外での活動ぶりをチェックし、傍聴者の市民から見た評価を「議員通信簿」として公表している。実名入りの成績発表とあって、52人いる相模原市議にとってはどうにも煙たい存在となっている。

 赤倉さんが議会傍聴にのめり込んだきっかけは、新聞の小さな告知欄だった。3人の主婦が「一緒に市議会を傍聴しませんか」と呼び掛けていた。1999年の春のこと。定年退職して3年、自治会長を務めていた赤倉さんは行政や議会がおかしいと感じ始めていた。

 新聞で知った議会傍聴ツアーに加わり、議場に足を踏み入れた赤倉さんは、目の前の光景に腰を抜かすほど驚いた。開会中にもかかわらず、勝手に席を離れる人や私語をやめない人、我関せずと内職に励む人や居眠りどころか熟睡する人までもいた。議論の中身以前の醜態だった。議員の実態に呆れ返った赤倉さんは「すぐに通信簿を作ろうと思い立った」と、当時を振り返る。

 そもそも、評価のない世界に進歩はありえない。自律的に生きられる立派な人間などそうはいないからだ。人間は普通、どうしても安きに流れてしまうものだ。誰かのチェックや評価を受けるからこそ、曲がり易い背筋もそのつど伸びる。怠けず、初心を忘れずに努力を続けるには、他人の視線に晒されることが必要だ。

 議員も例外ではない。議員は確かに市民から選ばれた存在(選良)だが、いわば市民の代理人・代弁者である。選んだ市民がその仕事ぶりをチェックするのは、当然のこと。もちろん、評価を下す最大の場は選挙である。働きが悪いと判断されれば、その議員は落選となる。しかし、現実には議員個々の働きぶりが不透明で、判断材料はきわめて乏しい。どんな議員活動を行っているのか、判然としていないのが実態だ。たった一人しかいない首長と大勢いる議員との最大の違いがここにある。

1999年5月に「相模原市議会をよくする会」が結成された。会員数は現在、83人。活動内容はこうだ。

 市議会の本会議や委員会を会員が手分けして全て傍聴し、議員一人ひとりの活動ぶりをチェックする。作成した資料を基に「通信簿作成委員会」が何度も協議を重ね、全議員の評価を通信簿にまとめて公表する。議員任期4年間の仕事ぶりの査定であり、政策や理念、考え方の評価ではない。あくまでも議員活動の実態や姿勢、能力などを傍聴者の市民の視点で評価するものだ。会は、不偏不党・中立の立場を貫いている。通信簿作成委員は54歳から83歳までの8人の市民で構成され、男性5人に女性3人。

 会の活動は当初、議員の居眠りチェックが中心となっていた。それほど緊張感のない体たらくの議会だった。最初の通信簿は2003年に発表された。評価項目は4観点7項目で、各議員は4観点ごとに「優」「良」「可」「不可」の評価がつけられた。実名での成績発表に胡坐をかいていた議員たちが驚いた。2回目の通信簿も07年に発表され、議場内の雰囲気は大きく変わっていった。居眠りする議員が姿を消し、議場に緊張感が漂うようになったのだ。傍聴席で目を光らす会員たちの存在が刺激になったのは間違いない。

 会は1月31日、3回目となる通信簿を発表した。最新の通信簿はこれまでと内容を大きく変え、進化されていた。評価項目を9観点25項目に増やし、1項目ごとに0点から4点の点数をつけ、100満点で採点する方式に変えた。そのうえで、得点順に議員の総合ランキングを作成、議員ごとの評価がよりわかりやすいものとなった。

 25に及ぶ評価項目は、調査・情報収集能力やコミュケーション能力、基礎知識といった基礎的能力部門。そして、質問の頻度や内容、公約への言及度や議場内での態度、さらには議会や行政への改革意欲など。今回からはこうした議会内での活動の評価だけでなく、議場外での活動も評価対象とした。議会報告や政務調査費の使用内容、さらには誠実度や信頼性といった人格部門と身だしなみや言葉使い、親しみやすさといった好感度なども新たに加えられた。

「議員の資質向上に役立てばと思ってやっています。あくまでも市民傍聴者からの評価で、行政が(議員を)評価したら、全く別な結果になるかもれません」

 赤倉さんは通信簿を広げて、こう語った。

52人の相模原市議のうち、最高得点は88点。次いで87点が2人。最低点は23点で、その議員は「落第」と判定された。このほかに「不可」と判断された50点以下の議員が13人にのぼった。不合格議員は全体の27%にのぼる。政党や会派に関わらず長老議員に「不可」が目立つ。「落第」という最低評価を受けた相模原市議は、「私はちゃんとやっています。それがなぜ、落第になるのか意味がわからない。どう判断したのか。ああいう人たちの活動に賛成するつもりはありません」と、憤る。一方、87点という高い評価を得た議員は「評価はどうあれ、市政をきちんと見てくれていて(グループの活動は)ありがたいと思います」と、明るく語る。

 では、議員通信簿が議員の働きぶりの向上に結び付いているのだろうか。赤倉さんは冷静にこう語る。

「議員の姿は残念ながら、まだあまり変わっていません。議会は閉ざされた世界で、ぬるま湯・仲良しに浸ってしまう議員が目立ちます。市民よりも議員同士や市長との絆を重視してしまうのです」  

 さらに、赤倉さんは12年に及ぶ議会ウォッチでの実感として「議員になってから基礎的能力を向上させるのは難しいのではないでしょうか。むしろ、議員のなる前に基礎知識や基礎能力を問う検定試験制度を設け、合格できなかったら立候補できないようにすべきでは」と、持論を語る。そのうえで、議会構成に関して、選挙で選ばれるいわゆるプロ議員と公募抽選による市民ボランティア議員の二本立てを提唱する。裁判員制度の地方議会版である。

 全国の地方議会の中で相模原市議会が特別な存在とは到底、思えない。むしろ、ごくごく普通の地方議会ではないか。逆にいえば、どこの地方議会も似たり寄ったりなのではないか。チェックなしのぬるま湯に浸って楽をしている議員ばかりではないか。ここは議員を選んだ市民の義務や権利として、議員の仕事ぶりをチェックし、通信簿を作ってみてはどうか。それこそが、議会改革の第一歩となるように思えてならない。評価なき世界は腐敗と堕落に染まっていくものだ。
by tanemaki_azumino | 2011-02-22 01:07 | 議会と地方自治